あらすじ
好きな子には、存在すら認識されていなかった。
今は、名前を呼んでもらえる。
三月の終わり。
大学進学を控えた早瀬は、浪人を決めた小楠さんのため、参考書を探し始める。
そんな中、友人たちから思わぬ事実を知る。
高三の一年間、自分にはまるで気づかなかった小楠さんが、他の男子とは普通に話し、恋愛相談まで受けていたらしい。
――俺とは、話してくれなかったのに。
無性に会いたくなって向かった本屋で、早瀬は偶然、小楠さんと再会する。
一緒に参考書を選び、メールアドレスを交換し、彼女の持つ招き猫まで話題になって――。
そして小楠さんは、早瀬を笑ってこう呼ぶ。
「合格早瀬君」
数日前まで、小楠さんの世界には存在すらしていなかった。
でも今は、確かにそこにいる。
恋を急がず、彼女の一年をそばで待つ。
【顔ヨシ頭ヨシ一途男子・青春ジレ恋】
『早瀬君の恋』連作短編シリーズ。