あらすじ

百五十年続いた、人間と魔族の大戦争。 その戦場で生まれ、親も故郷も、自分の名前さえ知らずに育った一人の少年がいた。 灰と鉄を操り、古びた外套で空を飛び、剣も流派も持たず、殴って、蹴って、騙して、生き残る。 やがて「灰色の悪魔」と恐れられた少年は、十三歳にして世界最強と呼ばれるほどの力を手にしていた。 そして彼は、人間にも魔族にも味方することなく、結果として百五十年続いた戦争そのものを終わらせてしまう。 ところが、戦争が終わった翌日。 少年は人生最大の問題に直面した。 「……何すりゃいいんだ?」 戦争しか知らない彼は、平和な世界での生き方を何一つ知らなかった。 そんな少年が流れ着いた交易国家の傭兵組合で出会ったのは、退屈な王宮から逃げ出してきた第三王女アクチュリア。 偽名はクリア。 そして名前のなかった少年は、彼女から初めての名前をもらう。 ――ガーネ。 世界最強なのに宿代の相場を知らないガーネと、王女なのに庶民の暮らしを知らないクリア。 薬草採取、猫探し、護衛、大食い大会、幽霊屋敷、海賊、学園、雪山、魔族の村。 戦争を終わらせた少年に待っていたのは、世界を救う新たな使命ではなく、知らないことだらけの平和な世界だった。 やがて二人の旅には、ガーネを生まれた時から見守っていた錆の精霊まで加わって――。 これは世界最強の英雄譚ではない。 名前すら持たなかった少年が、一人の少女と世界を巡りながら、相棒と、友人と、恋と、そして帰る場所を手に入れる物語。

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カクヨム
カクヨム2026/09/29
  • 現在の作品名前のない世界最強と家出王女 ~戦争しか知らない少年は、旅の果てに帰る場所を見つける~