あらすじ
天才少女、ローレル。
「すごいぞ、ローレル!」
そう言って集まってきた人々は
一人
また一人
と彼女のもとを離れていった。
ローレルは、その孤独を「天才ゆえの孤独」なのだと思い込むことで、自分を納得させていた。
そんな彼女が十二歳で入学したパウロの魔法学校。
そこで出会ったのが、誰からも慕われる少女スピレアだった。
周囲からは関わらないよう忠告されているにもかかわらず、スピレアはローレルへ手を差し伸べる。
「噂は知ってるよ。でも、本当かどうかなんて分からないじゃん」
最初は戸惑いながらも、いつしかローレルにとって、スピレアと過ごす時間はかけがえのないものになっていった。
しかし、学年が上がるにつれて二人の時間は減り、スピレアの周囲には再び護衛たちが立ちはだかる。
一方、アインシュ族としてパウロを調査していたローレルは、精霊教会の機密文書から、スピレアの両親にまつわる重大な秘密を知る。
そして、その調査の最中に教皇と遭遇してしまったローレルは、自らを助けるために一つの取引を持ちかける。
スピレアの父である枢機卿を、失脚させる手助けをする。
その翌日。
ローレルの前に現れたスピレアは、今まで見たことがないほど憔悴しきっていた。
そして、彼女が絞り出した言葉は
「ローレル…お願い…助けて…」
自分が生き残るために選んだ行動が、大切な友達を絶望へ追い込んだ。
その事実を知ったローレルは、初めて感じる奇妙な感覚に心を奪われる。
人が絶望に染まる、その瞬間に。
これは、孤独だった少女ローレルが、スピレアと出会い、そして二人の運命を大きく狂わせていくことになる始まりの物語。