あらすじ

父の葬儀を翌日に控え、僕は電話に出ない母を訪ねた。母は台所の入口で、壁の手すりを握ったまま座っている。「ちょっと、手を貸して」。頼まれるまま手すりを握ると、母の指がほどけ、代わりに僕の右手が動かなくなった。次の人が握ると、離せる。その奇妙な決まりとともに語られる、両親の十二年間。帰省するたび目にしていた何気ない光景が、もう元の家族の記憶には戻らなくなっていく。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/09/29
  • 現在の作品手を離せる人