あらすじ

その町は、地図にはある。誰の記憶にもない。 2013年春。 西川梨恵は、妹の娘・花菜を預かることになった。 震災で父を失い、避難先を転々とするうちに口を閉ざしてしまった小学生の姪。 ふたりが移り住んだのは、新今宮から西成へ向かう途中にある府営住宅「さつき町」だった。 住人は老人と子供しかいない。 市内でここだけが、いつも雨に濡れている。 転校初日、花菜は同級生から二つの約束を告げられる。 ひとりでトイレに行かないこと。 雨の日は外に出ないこと。 破れば「あおむし」が来る——。 その日、花菜はひとりでトイレへ行った。 姪は見えない友達と話しはじめ、 芋虫の絵を描き、どこで覚えたのか『軍艦マーチ』を口ずさむようになる。 そしてもう一つ、この町には大人にだけ課された禁忌があった。 あの歌を、歌ってはならない。 つられて口ずさんだ恋人が消えた。後輩が消えた。 町の元住人・アンジーは、十数年前に息子を失ったまま探し続けていた。 手がかりを追ううち、梨恵は理解する。 この町で起きていることには、はるかに古い出処がある——。 知れば、戻れない。 戦慄のホラー長編『訃。』

連載情報

ウェブ小説

配信言語
シーモア
シーモア2026/09/29
  • 現在の作品訃。 雨のさつき町では大人だけが軍艦マーチを唄ってはいけない