あらすじ
女装なんて、絶対に御免だ。
十九歳の青年ジェーニャは、幼い頃から「女の子みたい」「かわいい」と言われ続けてきた。
小柄で華奢な体格、白い肌、整いすぎた顔立ち――そのすべてが、本人にとっては大きなコンプレックスだった。
だからこそ、誰よりも男らしくあろうとしてきた。
そんな彼が知ってしまったのは、女帝エリザヴェータの宮廷で本当に行われているという奇妙な催し。
男性を本物の宮廷婦人と見分けがつかないほど美しく仕立て、ドレスを着せ、化粧を施し、女性の礼法や舞踏まで身につけさせる「メタモルフォーゼ舞踏会」だった。
絶対に自分だけは参加しない。
そう決意したジェーニャは、招待を避ける方法まで調べ始める。
ところが、やがて彼の家を揺るがす問題が起こる。
そして家を救うためには、ジェーニャ自身が最も嫌っていたものと向き合わなければならなくなる。
ドレスは嫌いだ。
女として扱われるのも嫌いだ。
それでも、逃げてはいられない。
これは、女装を好きになる物語ではない。
大嫌いなドレスを着たままでも、自分は自分でいられるのか。
女装嫌いの青年ジェーニャが、家と誇りを守るため、人生で最もやりたくなかった「宮廷婦人役」に挑む物語。