あらすじ
過酷な境遇を生きる少女と、理想を押し付ける老妖精(?)が織りなす、理不尽でリアルな魔法少女崩壊劇。ドロドロとした人間関係と世界の終わりを描いたダークファンタジー。
【ストーリー】
「茶色」「灰色」「ゴールド」――珍名に悩む少女たちの日常
児童養護施設で暮らす13歳の少女・金野茶色(こんの ちゃいろ)は、自分の名前と褐色肌にコンプレックスを持ち、成績の良さゆえに周囲から激しいいじめを受けていた。不登校になり、さらにはいじめっ子たちの放火によって施設が全焼するという悲劇に見舞われた彼女は、同い年のおば・灰色(はいいろ)や姪・ゴールドの暮らす親戚の家へと引き取られる。
通信制中学に通いながらトラウマと向き合う静かな日常は、ある夜、空から降ってきた「流れ星」によって一変する。
勝手すぎる妖精「ジージー」と「美魔法少女」結成
目覚めた3人を待っていたのは、奇抜で不恰好な変身姿だった。
筋肉質に変貌した灰色、肥満体型の豚のような姿にされたゴールド、そして奇抜な衣装の茶色。彼女たちの前に現れたのは、マスコットを自称する1946年生まれのおじさん妖精「ジージー」だった。
「わしの好みはデブと筋肉質じゃ!」
自分の嗜好と独自の美学で少女たちの姿を勝手に改変したジージーは、人類を破滅に導く敵「タコチュー(他己中心)」と戦うため、2年間にわたる理不尽な修行を強制する。さらには幼女、少年、青年、戦士といった他のメンバーも巻き込み、大規模な戦隊を組織しようとするのだった。
理想の崩壊――少女たちの逆襲
しかし、ジージーの思い描いた「愛と美の魔法少女」という理想は呆気なく崩れ去る。
受験期を迎えた少女たちに世界を救う情熱はなく、何より醜い姿に変えられた怒りと、思春期特有の複雑な人間関係、裏切り、嫉妬が渦巻いていた。
少女たちの不満の矛先は、身勝手なジージーへと向かう。陰湿な集団いじめ、SNSへの悪評拡散、手のひら返しの密告――。魔法少女アニメの歴史にない「マスコットへの集団暴行・いじめ」に耐えかねたジージーは泣き出し、ついに彼女たちを解放せざるを得なくなる。
地球の終焉と、身勝手なマスコットの決断
少女たちに見放され、人間関係の醜悪さに絶望したジージーは、酒とパチンコとタバコに溺れ、世界を守る使命を完全に放棄した。
時を同じくして、「他人に尽くしすぎて自滅を促す」タコチューと、「短気で自己中心的」なイカチューが結託し、本格的な地球侵略を開始する。「自分さえ助かればいい」と静観するジージーを余所に、滅びゆく地球で無駄な対策を練り続ける人間たち。
やがて大量繁殖したタコチューとイカチューの手により、地球は完全に喰らい尽くされ、滅亡した。
宇宙と異世界だけが残された空間で、生き残ったジージーは独りごちる。
人間はどうしてあんなにも醜いのか。いじめが横行するような世界なら、守る価値など最初からなかったのだ――と。
【主要登場人物】
* 金野 茶色(こんの ちゃいろ)
本作の主人公。不遇な生い立ちと珍名に悩む真面目な少女。冷めた視線で現実を見つめている。
* 金野 灰色(こんの はいいろ)
茶色のおば(同い年)。清楚な見た目だが寝相や口臭が酷い。変身後はマッチョになる。
* 金野 ゴールド(こんの ごーるど)
茶色の姪(同い年)。クォーターの天然美少女だが、変身後はお相撲さんのような容姿に変えられてしまう。
* ジージー
1946年生まれの老妖精。自分のフェティシズムを押し付けた結果、少女たちから恐ろしい逆襲を受ける。
* タコチュー / イカチュー
人類を滅ぼした脅威。「他己中心」と「自己中心」の象徴。