あらすじ
世界の終わりから、幾年もの時間が過ぎていた。
人々は安全な居住区で暮らし、外の世界はすでに人間が生きられない場所だと信じている。
争いを避け、危険から逃げることを選んできた青年には、いつも自分を守り、進むべき道を教えてくれる人物がいた。
「そこへ行くな」
「何も考えなくていい」
「私を信じればいい」
その言葉に従っていれば、安全に生きていけた。
しかし、ある日を境に、彼の知っていた世界に小さな矛盾が生まれる。
消された記録。
存在しないはずの人間。
届くはずのない物資。
真実を追う中で、彼はさまざまな人々と出会っていく。
真実を求める者。
嘘だと知りながら、その世界で生きる者。
嘘を利用する者。
誰かを守るために、あえて真実を隠す者。
そして、最も信頼していた人物にも、隠された秘密があった。
嘘は、いつも悪意から生まれるのか。
真実を知れば、人は幸せになれるのか。
誰かを信じることと、自分で選ぶことは両立できるのか。
これは、真実が嘘に勝つ物語ではない。
数え切れない嘘と選択の中で、一人の青年が少しずつ「自分で決めること」を覚えていく物語である。