あらすじ
AIによって寿命がわかるようになった世界。29歳以下で死ぬと判断された人間は「ショートリバー」と呼ばれ様々な制約がつけられた。
その一つが高校以上の進学を許されず、今までかかった税金を返すため働くことを求められること。
努力信仰の向井日向はサッカーの高校推薦も決まり、順風満帆な未来を信じて中学生活を送っていた。ところが、卒業式の直前の進路指導室で29歳の寿命を告げられる。
寿命という一つのフィルターで、どんなに努力しても報われることのない、社会の見えない差別。日向の心は死んでいく。
15歳の森幸永は両親がショートリバーで、自分ももうすぐ死ねると思っていた。
預けられた家で毎晩繰り返される伯父と従兄弟の性的搾取に、死だけが自分を救ってくれると思っていた。
しかし、卒業式直前、彼女に告げられたのは105歳の寿命。
短命を恨むもの、長命を呪うもの、同じ川のほとりで出会った二人の、最後の一年が始まる。
草薙美生はショートリバー同士の両親から生まれ、施設で育った。26歳の寿命を告げられ、まともな職に就けず体を売って生きてきた彼女は、19歳で子供・希望(のぞみ)を産む。自分が見られない未来を子供に託し、子供の記憶に自分を残すことだけを希望に、短い人生を精一杯生きる。
社会のシステムは個人がどうであれ無慈悲に進む。
見えない社会の差別、性的虐待、シングルマザー、現代における様々な問題と、寿命と命の価値を問う物語。