あらすじ

老舗刺繍工房で働くノエミは、工房主の娘アニエスに、自分が刺した品を「私が刺した作品」として売られていた。 腹は立つ。 けれど、客を取ってくるのはアニエスだ。 仕事を失うのが怖くて、ノエミはずっと黙っていた。 そんなある日、婚礼を控えたルシールが、亡き母の花嫁ヴェールを持ち込む。 彼女の願いは一つ。 「母が自分で刺した、この不格好な一輪だけは残してください」 修復ならできる。 ノエミはそう言い切った。 だが、見栄えを何より重んじるアニエスは、その一輪を「残す価値がない」と切り捨て、ついには鋏を伸ばす。 自分の仕事を奪われても耐えてきたノエミだったが――。 「触らないで!」 他人が残した大切な一針まで、なかったことにはさせない。 これは、自分の名前を口にできなかった刺繍職人が、 初めて自分の仕事を自分の名前で引き受けるまでの話。

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小説を読もう2026/09/29
  • 現在の作品その花だけは、綺麗にしないでください