あらすじ
少年ユウは、地球から遠く離れた宇宙ステーションで生まれ、十四年間を宇宙で過ごしてきた。
そこには「上」も「下」もなく、身体はいつも宙に浮いている。物を手放しても落ちることはない。そんな環境で育ったユウにとって、「重力」は教科書の中にしか存在しないものだった。
しかし、ある日、宇宙ステーションで大きな事故が発生する。
ユウは緊急脱出によって地球へ送られることになるが、幼なじみのミナは宇宙ステーションに取り残されてしまう。
初めて地球に降り立ったユウを待っていたのは、身体を押さえつける重力、歩くことさえ難しい地面、頬を撫でる風、そして青い空だった。
そこで地球生まれの少女ソラと出会い、ユウは少しずつ地球での生活を知っていく。
やがてユウは、宇宙に残されたミナを救うため、再び宇宙へ向かうことを決意する。
宇宙へ戻ったユウはミナと再会するが、ステーションは崩壊寸前だった。
二人は命がけで地球へ帰還する。
そしてユウは気づく。
宇宙にいた頃、自分は「自由」を何にも縛られないことだと思っていた。
しかし、本当の自由とは、どれだけ遠くへ飛んでいっても、自分で帰る場所を選べることなのだと。
宇宙で生まれた少年は、地球で初めて重力を知った。
そして重力を知ることで――
「帰る場所がある」ということの意味を知った。