あらすじ
父王と王太子だった兄が、事故で死んだ。
十九歳のレオンハルト・フォン・エーレンフェルトは、こうして予定になかった王位を継ぐことになった。
彼が受け継いだエーレンフェルト王国は、辺境星域に存在する弱小国の一つ。
領土は一星系。
主要産業は農業。
工業力は乏しく、二個しかない艦隊は定数の半分にも満たない旧式艦ばかり。
そんな若き王に、強大な隣国アイゼンベルク王国が「軍事同盟」を持ちかける。
名目こそ対等な同盟。
だが、その実態はほとんど従属要求だった。
国を守るための力がない。
そう思われていたエーレンフェルトには、歴代の王だけが存在を伝えてきた秘密があった。
首都地下に眠る、旧銀河帝国の巨大工廠。
そして工廠でレオンハルトを待っていたのは、古代の超技術を扱う謎の少女だった。
「一品物でよろしければ、大抵のものは製造可能です」
「例えば?」
「手始めに、敵国の首都を一撃で破壊する兵器など」
「却下」
これは銀河を征服しようとした英雄の物語ではない。
滅びたくなかった小さな王国と、王になるはずではなかった青年の物語。
そして後世、銀河史の転換点と呼ばれる時代の始まりである。