あらすじ
ブラック企業で十年以上働き続け、過労死した会社員・佐藤恒一。
死の間際に願ったことは、ただ一つ。
――生まれ変わったら、何もしないでぼーっと生きたい。
そんな願いが通じたのか、恒一は剣と魔法の異世界へ転生する。
……ただし、転生した姿は人間でも魔族でもない。
攻撃力ゼロ。
防御力ゼロ。
移動すらできない。
スライムよりも弱い最弱生物――「マナゴケ」だった。
「これじゃ、何もできないじゃないか……」
絶望する恒一だったが、彼には一つだけ特別な力があった。
それは、自分が持つスキルを他者に貸し出すユニークスキル――【天賦徴税(タレント・タックス)】。
しかも、スキルを借りた者が獲得した経験値の10%が、ロイヤリティとして恒一のもとへ入ってくる。
つまり――自分は戦わなくてもいい。
強い仲間にスキルを貸せば、仲間が戦うほど自分も成長できるのだ。
そして恒一が最初にスキルを貸した相手は、彼の巣に棲みついていた一匹の幼いドラゴンだった。
やがてそのドラゴンは古代龍の血を引く少女へと成長し、恒一を「主様」と呼ぶようになる。
さらに、誰にも触れられなかった突然変異のスライム。
三百年もの間、存在を隠され地下牢に囚われていたハイエルフ。
そして、聖樹や月樹、世界樹にまつわる謎。
最弱のマナゴケだったはずの恒一のもとへ、次々と規格外の仲間たちが集まってくる。
「俺はもう働かない。戦うのも、できれば誰かに任せたい」
これは、過労死した元社畜が、仲間にスキルを貸しながら経験値を徴収し、今度こそのんびり生きようとする――
そんな彼の願いとは裏腹に、いつの間にか世界の命運にまで関わってしまう物語。