あらすじ
空に浮かぶ大陸エリジウム。
下層の歯車スラムで、私、エダ・ファルクは修理屋をやっている。17歳。
父が残した共鳴レンチは、機械の声が聞こえる変な工具。
壊れた機械が「痛い」って泣くのが、私には聞こえる。
帝国が祝う創立祭まで、あと一週間。
上層は、下層を重りとして切り離すって噂だ。
錆喰いと呼ばれて蔑まれてきた私たちの街を、帝国は捨てる気だ。
父を探して上層に潜入した私が出会ったのは、胸に歯車を抱えた無感情な少女・零。
彼女は言った。
「第七釜炉は、釜炉じゃない。世界を運ぶクジラだ」
帝国に海から連れてこられ、無理やり繋がれて、何十年も空を支え続けた神様。
飛び方を忘れたクジラと、捨てられる街。
父の教えは、こうだった。
「直すな、動かせ」
だったら、修理屋の仕事は一つだ。
神様の心臓を直すんじゃない。もう一度、泳がせるんだ。
錆と蒸気と歯車の空で、錆喰いの修理屋とクジラの航行が始まる。
創立祭まで、あと65時間。