あらすじ
貫かれるのはいつもメイドのフェリシーで、覚えているのはお嬢様だけ。
午後六時十二分、地上百四十センチ。電柱に留められた看板の足場ボルトが、その高さで一本だけ突き出している。道を変えても、看板を外させても、屋敷から一歩も出さなくても、フェリシーは同じ時刻に同じ高さを貫かれ、同じ言葉を残して事切れる。
「よかった……お嬢様が…ご無事でいらして…」
これで十七回目になる。十八回目の朝、お嬢様は動かせなかったものを並べなおす。固定されているのは、高さと時刻だけ。そして十七回とも、庇ったのはフェリシーだった。