あらすじ
横領。賄賂。口封じ。
前世の記憶が戻ったら、わたくしは王国一のドブカス官吏になっておりました。
罪は全部自首。財産は全部返還。
死罪だけは免れましたが、代わりに飛ばされたのは前任者が三人逃げ出した辺境の町の閑職ですわ。
予算なし。部下なし。引き継ぎ書には「この街、ヤバい」の一行だけ。
人前では「俺」で通しておりますけれど――
「あの悪党、今度は何を企んでいる」
「関所の税を下げた? 罠に決まってる」
「……おい、街道に商人が戻ってきてないか?」
わたくしはただ、この体が奪ったものをお返ししているだけですのに。
ついてきた元侍女は、今日もわたくしに荷物を持たせて言います。
「雑魚♡」
これは極悪官吏の体で目覚めた淑女が、罪滅ぼしのつもりで潰れかけの辺境を国一番の交易都市にしてしまうお話。