あらすじ
昭和の寂れた海岸で、ただの偶然として唐突に出会った二十歳前の少年と少女。
人魚の「鱗」を食べて時間を止められ、不完全な呪いのせいで定期的に記憶を失う、紬(つむぎ)。
でマーメイドの「ヒレの欠片」を貪り食って完璧な不老不死となった、連(れん)。
「お金はいらないから名前を教えてほしい」
ただ一瞬で消える火傷と、自らの腕を刺すナイフの血だけでお互いの呪いを察し合った二人は、そこから「兄妹」と偽って共に暮らし始める。
しかし、忘却のタイムリミットは残酷に繰り返され、彼女はまた恐怖から逃げ出してしまう。
妖怪アマビエ、
九尾の狐が眠る殺生石、
八百比丘尼の即身仏――。
日本国内の追跡劇から人類最古の地メソポタミアへとすべての線を結んでいく。
世界中のすべての大陸を巡り、最後に行き着いた南極の極寒の中で、連が思いついた狂おしい救済の形。
そして、もののけの本能が想定外の危機に暴走し、時空の裂け目の先に開いたアトランティスの『エデンの園』。
これは、呪いを失い、ただの温かい人間に戻った二人が、人間が消え去り緑豊かに再生した数千年後の地球で、新しいアダムとイヴになるまでの、長い長い漂流の終わりを描いた壮大なシリアス・ダークロマンス。