あらすじ
日が沈むたびに通路が組み替わる迷宮。冒険者パーティーを追い出されたトウマの技能は、迷宮の中に一晩だけ、動かない野営地を作ることだった。
戦えない。魔物も倒せない。そんな技能は役に立たない――誰もがそう思っていた。
だが、帰り道を失った新人冒険者を救った夜、トウマは気づく。迷宮の中で場所を固定できる野営地があれば、そこを基準に地図を描き直せるのだ。
地図係のリッカをはじめ、戦えない者、居場所を失った者、力を活かせずにいた者たちが集まり始める。仲間が増えるたび、野営地に地図室、炊事場、工房、診療所ができ、迷宮の奥へ進む道が開かれていく。
目指すのは、最強の冒険者ではない。迷宮に入った誰もが、必ず帰ってこられる場所。
これは、見捨てられた者たちが仲間となり、迷宮の奥に「帰れる街」を築く物語。