あらすじ
婚約破棄を、舞踏会のど真ん中で宣言する。 そんな「名場面」が、いま王国中で大流行していた。
きっかけは、覆面作家ヴィオラ・ノワゼットの大ヒット小説『氷の令嬢は、断罪の夜に微笑んだ』。 真似をする貴族の子息が後を絶たず、縁談は吹き飛び、同盟は揺らぎ、ついに国王は「婚約破棄防止局」を立ち上げた。
第三窓口係のコレット・アーベル、二十歳。 仕事は、宣言の直前に割り込んで、書類で殿下を止めること。 そして、誰にも言えない秘密がひとつ。あの小説を書いたのは、彼女本人だった。
書いたやつが、止める係をやっている。 自嘲しながら今夜も舞踏会の隅に立つコレットは、まだ知らない。 止められた令嬢たちの中に、あの物語を「出口」にしていた人が、どれだけいたのかを。
(ちなみに局長は、その小説の熱烈な愛読者。「作者を見つけ出して礼を言いたい」が口癖です)