あらすじ
修学旅行先のホテルで、担任の黒川先生が殺された。
凶器はガラス製の灰皿。
死亡推定時刻は、午後十一時四十二分。
白石湊には、先生を二度殴って殺した“はっきりとした記憶”があった。
ところが――
「先生を殺したのは自分だ」
そう証言した生徒は、湊を含めて五人。
しかも凶器からは、五人全員の指紋が発見される。
それなのに防犯カメラには、犯行時間帯に先生の部屋へ出入りする人間が一人も映っていなかった。
そして映像に残された、右手に六本の指を持つ謎の人物。
やがて湊は、三年間忘れていた一人の少年を思い出す。
その名は――白石直人。
湊の、弟だった。
なぜ五人全員が同じ殺人を記憶しているのか。
なぜ誰も部屋に入っていないのか。
そして、黒川先生が死の直前に残した、
**「これで五人目だ」**
という言葉の本当の意味とは。
失われた記憶を辿った先で明らかになるのは、一つの殺人事件だけではない。
これは、忘れてしまった罪と、
忘れてはいけなかった人を思い出す物語。