あらすじ
勇者パーティで装備や道具の整備を担当していた修復師レインは、前線で戦えないことを理由に「無能」と蔑まれ、迷宮攻略失敗の責任まで押しつけられて追放されてしまう。
行き場を失った彼が流れ着いたのは、魔物被害と瘴気によって滅びかけた辺境の村だった。
乾いた井戸、火の消えた工房、ひび割れた結界柱。
だがレインがそれらを修復したとき、彼は自分の職能が単なる“物の修理”ではないと知る。
彼の力は、壊れた武具だけではなく、失われた機能、歪んだ土地、そして傷ついた才能さえ修復できる唯一の力だったのだ。
呪いで剣の才を失った元女騎士エルナ。
魔力回路が壊れ、落ちこぼれと呼ばれていた少女魔術師ミナ。
崩壊寸前の工房を守り続ける老鍛冶師グラム。
レインは傷ついた仲間たちと共に、辺境の小さな村を“再生の拠点”へと変えていく。
やがてその噂は王都にまで届き、かつて彼を追放した勇者パーティや貴族たちは、レインがいなくなって初めて、自分たちが何を失ったのかを思い知る。
聖剣の異常、王都結界の崩壊、そして世界各地に広がる“修復不能”の災厄。
それらすべての鍵を握っていたのは、無能と捨てられたはずの修復師だった。
これは、壊れたものを直すことで、失われた居場所と誇りを取り戻していく青年の再生譚。
そして最後に彼が選ぶのは、王都の栄光ではなく、自分の手で築いた“帰る場所”。