あらすじ
生まれた時から、宿命を背負った人間は存在する。
現代の価値観で彼らの生き方を測ることは、果たして正しいのか。
思想、戦術、政治のリアルに切り込んだ、硬派なる架空歴史ドキュメンタリー。
ナレーション風の語り口が、より冷徹な言葉となって突き刺さる。
――混迷を極め、国内の安定が失われたリンゼン帝国。
乱れた世を平定するため、義勇軍を率いて立ち上がったカイゼル・ハワードは、やがて大陸の西方を統治し、ハワード王国を築き上げた。
十年の平和の後、徐々に国力を回復しつつあった帝国は、わずか十歳の女皇帝イストリアの即位を契機に、大陸再統一という悲願に向けて兵力を結集する。
それは皇帝自身の意志とは無関係に動き出した、巨大な国家の慣性であった。
大軍を迎え撃つハワード王国の軍議は紛糾し、カイゼル王も悲壮な決意を固める。
その時、カイゼルの八歳になる息子、アウグスト王子の放った一言が、戦局を決定的に変える。
戦争は「戦場」という局地的な枠組みを超え、国家の在り方から、法制度、そして民衆の心理の深淵にまで踏み込んでいく。
やがて少年の存在は、世界の構造そのものを変えていく原点となった。
「明確な誤りがなくとも、戦争は起きる。
時に誰もが正しい選択をした末の、不可避な事象として」
人類が克服することのできないカルマを、相対する統治者の視点から冷徹に描く物語。
kindle販売中の同名書籍の序章のみ公開