あらすじ
※短編からお越しの方は、第4話へどうぞ(第1〜3話は短編と同じ内容です)。
「身代わりは、もう不要だ」
王家に向けられた呪いを代わりに引き受ける『身代わり』として、十年間を北の塔で過ごしてきたノエラ・カーヴェル。聖女の加護が王家を守ることになり、ノエラはあっさり解任される。
かしこまりました。では、誓約を解きますね。
預かっていた十年分、三百十二件の呪いは、本来の宛先へ戻ります。送り主のお名前も、すべて帳面に控えてございます。
くしゃみの止まらない殿下を残して王都を出たノエラは、最初の宿場町で看板を出した。
『呪い、お返しします』
弟子入りしてきたのは、呪いを防ぐことしか教わっていない聖女様。帳面を狙う侯爵の私兵も、すぐうしろまで来ている。
そして肩の上には、送り主の分からない呪いが一件。十年前に誰かがノエラ自身へ宛てたものが、黒い鳥の姿で鳴いている。
「いくな」
行き先を自分で決めるのは、生まれて初めてなのに。