あらすじ
道をつくるのは、地図に線を引くことじゃない。
街道の終点にある宿『西鐘亭』。
三十五歳の若旦那ポールは、二十年間、旅人たちの大げさな昔話を聞き続けてきた。
「白い石の岸」
「朝飯を食うなと言われる峠」
「二日歩けば塩の匂いがする風」
互いに知らない旅人たちの話を重ねると、地図にない一本の線が見えてくる。
そこへ現れたのは、三十七歳の王立街道局主任測量官ヘレン。
宿屋の生活知と、測量官の専門知。
二人は、街道の終点から海まで続く「六日」の候補路を探し始める。
だが、二人が歩けるだけでは「道」にはならない。
普通の馬と荷車が、普通の荷を積み、朝に宿を出て日暮れまでに次の宿へ着けること。
商人が、もう一度使いたいと思えること。
そして、道を望まない人の暮らしまで踏みつけないこと。
青い湖。
昼には危険になる風の峠。
水の消えた古道。
限りある岩泉。
誰の記録にも残っていない、海までの最後の区間。
これは、冒険者ではなく仕事のできる大人二人が、
「誰かが一度通れた道」を
「次の知らない誰かも使える道」へ変えていく、
異世界ロードファンタジー。