あらすじ
3678年。人類は、異星文明「頭足人」の領域へ通じる航路を破壊した。
二百年以上続いた戦争に、ようやく終わりが見えた。
軍を離れる者。研究に戻る者。大切な人との暮らしを思い描く者。
戦争のために使ってきた時間を、人々は少しずつ自分のものに取り戻していく。
だが六年後、木星圏に敵艦隊が現れる。
工廠が焼かれ、避難船が砲火にさらされる。終戦を信じて築き始めた生活が、再び戦争に呑み込まれていく。
航路は確かに閉ざされている。
それなら、敵はいったいどこから来たのか。
戦場に残された残骸と記録を手がかりに、研究者たちは襲撃の謎を追う。
その答えは、次の攻撃を防ぐために必要だった。
そして、戦争の終わりを待つ人々が、どんな未来を生きるのかにも関わっていた。
科学による謎の解明と、戦争の中で変わっていく社会と個人の歳月を描く長編SF。
『航路分岐年代記』シリーズの一作です。本作単体でお読みいただけます。シリーズ既読の知識は必要ありません。
【用語の簡単な紹介】
■スプレンドール/ムンドゥス/テラスペィ
人類の三つの植民星系。いずれも太陽系とジャンプFTL航路で結ばれている。
■SP356
スプレンドールとジャンプFTL航路で結ばれていた資源星系。頭足人の領域にも航路が通じていたため、種族間戦争の主戦場となった。3678年の航路封鎖作戦でジャンプFTL航路が破壊され、到達不能となった。
■ジャンプFTL
固定された遠方の星系同士を直接結んで移動するFTL(超光速航法)。人類と頭足人はほかの超光速航法も持つが、利便性の高いジャンプFTLを主に利用している。
■頭足人
3422年、人類がSP356星系で初めて遭遇した異星文明種族。人類との星間戦争は二百年以上にわたって続いた。