あらすじ

三十年以上、一つの会社に勤め続けてきた六十歳の景司は、ある日突然、会社から解雇を告げられる。何の前触れもなく居場所を奪われた景司は、段ボール箱一つを抱えて会社を後にする。家に帰っても、家族にすぐには事実を話せず、「自分は何だったのか」と苦しみ続ける。やがて、かつての同僚たちから連絡が途絶え、会社を離れた途端に人間関係まで消えていく現実に打ちのめされる。自分の三十年は何だったのか。夜、一人の部屋で涙を流す景司を、妻の言葉が支える。過去の仕事を振り返る中で、会社が景司の三十年を否定することはできないと気づく。そして小さな店で新しい仕事を始め、誰かから「ありがとう」と言われる喜びを知る。やがて景司は、会社への怒りを抱えたままでも、その会社に残りの人生を支配される必要はないと悟る。失ったものを忘れるのではなく、抱えたまま前へ進む。景司は新しい朝、自分自身の人生を歩き始める。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2026/09/27
  • 現在の作品馘首 あの日、会社を失った