あらすじ
「玻璃の血」を持つ一族、グラスウェル家。その血筋には、王家を救い、国の危機を予見してきたという伝説があった。
祖母に「完璧な令嬢」として育てられたアーデン・グラスウェルは、十七歳になったある日、自分が男として生まれていたことを知らされる。しかも父は、かつて王位を巡る争いの末に処刑された元第一王子。母クラリスもまた、王家への陰謀に加担した罪人として塔に幽閉され、すでに亡くなっていた。
王家の血を引く者として宮廷に迎えられたアーデンだったが、読み書きも剣術も満足にできず、男としても女としても不完全な自分に苦しむ。そんな彼に手を差し伸べたのは、青年ローワンだった。
文字を教え、傷を手当てし、世界の広さを語るローワンとの交流を通じて、アーデンは初めて自分の望みを考え始める。
血筋に定められた人生を捨て、ひとりの人間として生きることを選んだアーデン。その先で彼を待っていたのは、温泉の湧く小さな領地と、寄せ集めの家族、そしてまだ答えの出ない恋だった。