あらすじ
「好きだよ」
「はいはい」
人気作家・深沢伊織の「好き」なんて、信じるだけ無駄。
だし巻き玉子がおいしくても「愛してる」。
仕事を手伝っても「好き」。
担当編集者の但馬愛莉は、八年間そんな伊織に振り回され続けてきた。
大学卒業後、憧れの出版社に入社し、憧れの作家だった伊織と出会った春。
あのときはまさか、三十歳を目前にしてまで彼の世話を焼いているなんて思ってもいなかった。
伊織にとって「好き」は挨拶みたいなもの。
だから、何度言われたって本気にはしない。
――そのはずだった。
「俺、ずっと本気なんだけど」
八年間「好き」と言い続けた男と、八年間「好きじゃない」と思い続けた女。
近すぎる二人の関係が変わるとき、今まで聞き流してきた「好き」の意味まで変わり始める。