あらすじ
「笑わないで、瀬名くん」
学内一、笑顔の似合う人に、私は三回続けてそう言った。
写真部の大学二年生・相沢こはるは、誰かの隣に立つより、カメラの後ろにいるほうが落ち着く。
学生広報の撮影で組むことになったのは、学内の人気者・瀬名律。誰にでも気さくな彼の、本当の気持ちはよくわからない。
けれど、二人で学内を歩くうち、レンズ越しに見える表情が少しずつ変わっていく。
隣に空けてくれる席。雨の日に分け合う傘。そして、カメラを持たずに会う約束。
優しいのは、誰にでも?
それとも、私だから?
撮りたいと思っていた笑顔を、自分に向けてほしくなった。
秋の大学を舞台に、撮る側にいた彼女が、好きな人の隣へ一歩を踏み出す青春ラブストーリー。