あらすじ
婚約者の浮気が発覚した。
腹が立ったので、彼の愛車をぶっ壊した。
結果、婚約破棄。
仕事も辞めさせられて、おまけに書類送検。
人生どん底の若宮苑が五年ぶりに帰ってきたのは、京都市左京区の山里・花脊。
帰郷した苑を待っていたのは、花脊の魔女と呼ばれる祖母・ダフネと、相変わらず騒がしい幼馴染たち。
そして、作業着姿で軽トラを乗り回す男――巧身。
「明日から、俺んとこで働く?」
朝六時からヒノキを割って、おちょくられて、また逃げ出して。
こんな田舎、一刻も早く出ていくつもりだった。
東京に戻って、仕事を見つけて、人生をやり直す。
そのはずだったのに。
夏の終わりが近づくほど、帰りたいはずの東京が遠くなっていく。
そして巧身もまた、願い始めていた。
――遠くへ行ってくれるな、と。
京都の山奥、火の粉が夜空を舞う「松上げ」の夏。
派手につまずいて帰ってきた女と、
そんな彼女をからかいながらも執着していく男の、
ひと夏の再生ラブコメディ。