あらすじ
ヴァレント伯爵家当主のエレノアは、妹マリエルから突然、
「お姉様のものは全部ちょうだい」
と告げられる。
欲しいのは、エレノアの婚約者フェリクスだけではなかった。
伯爵位も、領地も、屋敷も――全部。
エレノアは拒まなかった。
ただし、ヴァレント伯爵家には三十億七千二百万リールの登録債務がある。
返済計画を守れば領地経営は続けられるものの、自由に使える金は少なく、当主には数多くの判断と責任が付きまとう。
債務額も、返済期間も、当主として背負う責任もすべて説明され、それでもマリエルとフェリクスは、
「自分たちならやれる」
と家督の承継を選ぶ。
そして二人は知ることになる。
エレノアが持っていたのは、爵位や屋敷や華やかな立場だけではなかったことを。
これは、姉の「全部」を欲しがった妹が、本当に全部を手に入れる話。