あらすじ
奥沢駅の近くから、二人の兄弟が姿を消した。
残されたわずかな手掛かりは、兄弟が語った「電車の旅」の記憶。
しかし、捜査員が時刻表と路線図を照らし合わせると、その旅には奇妙な矛盾があった。
「川崎」
「大井町」
「金町」
「柴又」
「船」
「東京湾」
「稲毛」
兄弟の記憶では、すべてが一本の旅としてつながっている。
だが、本当にそうだったのか。
女性のアナウンス、機械油の匂い、何度も繰り返される乗り換え、そして東京湾へと続く水辺の記憶。
電車と船を乗り継いだ兄弟の足取りを追ううち、捜査員は「旅そのものが偽装されていたのではないか」という疑念を抱き始める。
奥沢から始まった失踪事件は、やがて城南、江戸川、東京湾、そして稲毛へと広がっていく。
一本の旅に見えたものは、本当に一本の旅だったのか。
鉄道と地理、そして人の記憶が交差する、猫津勘吉オリジナル・サスペンス。