あらすじ
嫁ぎ先の家族が、全員ニセモノでした。「君は完璧すぎる。可愛げがない」――身に覚えのない罪で婚約を破棄された侯爵令嬢クラリッサは、罰として“冷酷辺境伯”のもとへ嫁がされた。
出迎えのお辞儀は、王宮の儀仗兵より揃っていた。揃いすぎていた。
声の大きすぎる義母は、元旅芸人の料理番。「ですわ」を連発する義妹は、口の悪い村娘。義弟は馬が大好きな厩番の少年。祖父は、だいたい寝ている庭師。一家が絶えれば、この土地は宰相の手に渡る。町を守るために、町じゅうがぐるになってついた大嘘だった。しかも、「うむ」と「否」しか言わない無口な夫だけは、どうにも事情が違うらしい。
宰相から「不正があれば報告せよ」と命じられて嫁いだ身。報告すれば、王都へ帰れる。なのにこの人たちは、わたしを責めるどころか、弁当と毛布まで持たせて、王都へ帰そうとする。
王家に家督を認めてもらう日まで、あと一年。本物の令嬢は、この家にわたし一人。
ならば――この大根役者たちを、王都も認める辺境伯一家に仕立ててみせましょう。