あらすじ
【死んだ凡人の行く先は、まさかの「一万円札」だった――!?】
佐藤駆、十七歳。
三件のバイトを掛け持ちし、睡眠時間を削って必死に働いても、財布の中身はいつも空っぽ。勉強もスポーツも恋も、すべての勝負で完璧な幼馴染・無糖峰に勝てたためしがない。あいつがうらやましい、それが駆の日常だった。
ある朝、寝不足による不注意で赤信号を見落とした駆は、トラックに跳ね飛ばされ――呆気なく命を落とす。
目が覚めると、駆は一枚の「一万円札」になっていた。
福沢諭吉の肖像画の顔のまま、駆はお金として人間の世界を旅することになる。
多重債務に苦しむ男の絶望、ヤクザの組事務所に渦巻く黒い欲望、夕暮れの海を眺める老夫婦の穏やかな温もり、そして誰かの恋の始まり――。
人間の欲望と優しさの最深部を、ただの紙切れとして見つめ続ける駆。
だが、彼の旅の果てには、あの忌々しくも眩しい幼馴染・無糖峰の影が揺れていた。
人として生きた十七年と、お金として流れていく果てしない旅路。
負け続けた少年がいちばん遠い場所から「勝つ」までの、奇妙で切ない転生ヒューマンドラマ。