あらすじ
三十五歳の会社員、潮見倫太郎。
故郷を離れ東京で暮らしていた彼は、父・宗一郎の突然の死をきっかけに、久しぶりに生まれ育った島へ帰ってくる。
そこで倫太郎が出会ったのは、淡い緑色の瞳をした不思議な女性――そら。
彼女には、人には見えないものが見えていた。
忘れられた店。
使われなくなった道具。
誰かの記憶に残されたもの。
そこに宿る、不思議な存在――「勿怪」。
そらとともに勿怪たちの小さな願いに触れるうち、倫太郎もまた、自分が故郷に置き去りにしてきたものと向き合い始める。
忘れていた父のこと。
失われていく島の風景。
思い出せなくなった記憶。
そして――そら自身も知らない、彼女の過去。
忘れることは、なくなることなのか。
これは、忘れられていくものと、残されていく想いを巡る物語。
そしてきっと――誰かのための、唄の物語。