あらすじ
離縁した元公爵夫人アデル、今度は自分の名前で薬草園を開きます――八年分の手柄を横取りした人たちは、帳面一冊で順番に崩れていきます。
「一か月後に離縁する」と告げられた公爵夫人アデルは、三十日かけて薬草園の仕事を愛人ロジーナへ丁寧に引き継いだ。けれどロジーナが出てきたのは七日だけ。欠席の理由は、本人の字で「茶会のため」。
春、アデルは自分で選んだ斜面に新しい園を開く。ところがギルド支部長は申請書を開きもせず、母の形見の「匙の印」は王都の商会に登録商標として奪われていた。店先には偽物の咳止めが一瓶金貨十枚で並んでいる。
アデルが並べるのは、八年分の封蝋と、印の柄の小さな欠けだけ。
毎朝六時、丘には欠席ゼロの辺境伯ヴィクトルが立っている。帳面の二項目めに誰の名を書くかは、アデルが決める。
※短編『「一か月後に離縁だ」と言われたので~』の連載版です。短編未読でも第1話から読めます。