あらすじ

北関東の小さな町、県立高校の天文部に所属する一之瀬冬美(いちのせ・ふゆみ)には、たったひとつの趣味しかなかった。夜空を観測し、記録すること。三年生の部長・高木亮(たかぎ・りょう)は、大学進学を控えながらも、冬美にだけは根気強く星の見方を教えてくれる、数少ない理解者だった。 十二月十四日、ふたご座流星群が極大を迎える夜——二人は旧校舎の屋上で観測をする約束をしていた。しかし高木は現れず、翌朝、旧校舎の裏で遺体となって発見される。警察は自殺と断定し、机の上には彼の筆跡とされる短い遺書が残されていた。 けれど冬美には、どうしても信じられないことがあった。あの夜、屋上に据えられていた望遠鏡は、人が飛び降りるにはあまりに邪魔な、屋上のいちばん端に、寸分の狂いもなく向けられていたのだ。 自ら死を選ぶ人間が、なぜ最後の夜に、あれほど正確に星の位置を測ろうとしたのか。 冬美は誰にも打ち明けられないまま、たったひとりで「観測」を続けることを決める。それは、亡き先輩の名誉のためではなく、自分がこの目で見た「事実」に嘘をつきたくなかったからだった。

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小説を読もう2026/09/07
  • 現在の作品あの夜、星は落ちた