あらすじ
記憶を失ったペンギン族の少女、ユキミア。
彼女には5年ほど前より昔の記憶がない。
手元に残されていたのは、題名のない1冊の古文書だけ。
その中で唯一読めた「ユキミア」という言葉を、彼女は自分の名前として使っている。
そばにいるのは、大きな盾を背負ったシロクマ族のしろまる。
彼もまた自分の本当の名前も過去も思い出せない。
二人が暮らしているのは、ズーネスと呼ばれる獣人たちの国――
「かき氷帝国」
東西南北で季節の色や文化が異なり、商都や港、深い森、雪の街で、それぞれの暮らしが続いている。
帝国北部の雪の街・ユーフロストで、ユキミアとしろまるは町の人たちを手伝いながら穏やかに暮らしていた。
ところがある日、いつも通っているパン屋に見慣れない札が貼られる。
その夜。
何年もほとんど読むことができなかった古文書に、思いがけない変化が起きた。
そこに書かれていたのは、ユキミアの失った過去につながる言葉と、この世界では伝説として語られている「ニンゲン」のことだった。
同じ頃、2026年の日本。
14歳の少年シュウは、突然すべてが止まった街で誰も乗っていない不思議な列車と出会う。
家へ帰るか。
列車へ乗るか。
迷った末、シュウは自分から列車へ足を踏み入れた。
帝国の別の土地でも、ユキミアの知らない人々がそれぞれの暮らしを生きている。
外の世界に憧れ家を飛び出す少女。
行方の分からない大切な人を捜し続ける男。
古い記録を修復しながら、歴史の食い違いに触れる少女。
まだ彼らは、お互いの存在を知らない。
それぞれが見つけたものを確かめていくうちに、これまで誰も疑わなかったこの世界の姿が少しずつ変わり始める。
──知ることから、世界は変わりはじめる──