あらすじ
かつて青かった地球は、ゆっくりと終焉へ向かっていた。
故郷を失い、孤島ユーソフィアで郵便局員として暮らす青年、クリス・E・ウィンドワード。
未来に期待することも、過去を振り返ることもやめ、ただ淡々と日々をやり過ごしていた彼の暮らしに、一人の少女が現れる。
彼女の名は「SORA」。
クリスの住む部屋に備えられていた、正体不明のシステムAIだった。
感情を知らないはずのSORAは、海を見て「綺麗」と呟き、味の分からない料理を「おいしい」と感じ、少しずつ自分の中に芽生えたものへ名前を与えていく。
そんなある日。
クリスは一通の郵便物を届けたことをきっかけに、現実とは食い違う奇妙な「記憶」を見る。
そこにいたのは、今では失われてしまった人々。
そして、確かに存在したはずの幸福な時間だった。
なぜ、自分だけが失われた過去を見るのか。
郵便物は何を繋いでいるのか。
政府が進めた巨大エネルギー事業「ヘリオス計画」。
謎の言葉「CLOSED BLUE」。
そして、SORAはいったい何者なのか――。
人間が感情を失い、
AIが感情を知っていく終わりかけの世界で、
クリスはもう一度、自分の過去と向き合い始める。
これは、もう戻ることのできない夏を巡る、
追憶と再生のSF長編。