あらすじ
『約束の庭――夢の中で、君に会った』
「ママ……やっと会えたね」
不妊治療を続ける三十五歳の美咲は、ある夜、不思議な夢を見る。
そこは、季節の止まった美しい場所――「約束の庭」。
そこで出会った小さな少女は、初対面のはずの美咲を「ママ」と呼んだ。
「どうして私を知っているの?」
少女は答えない。
それどころか、美咲が誰にも話したことのない記憶や、幼い頃に大切にしていたものまで知っていた。
さらに少女は、なぜか美咲の不妊治療のことまで知っている。
「ママ、ずっと私を待ってたんだよ」
夢から覚めれば、治療の痛みと、妊娠できない現実が待っている。
それでも眠れば、少女に会える。
少女と過ごすうち、美咲は少しずつ気づき始める。
この子は、本当にただの夢なのだろうか。
なぜ、私を「ママ」と呼ぶのか。
なぜ、私しか知らない記憶を知っているのか。
そして少女が口にした、意味深な言葉。
「私が生まれなかった理由、ママは知ってるよ」
やがて約束の庭に白い花が咲き始める。
それは、少女との別れが近い合図だった。
少女が消えた後、誰もいない庭に現れる、見知らぬ男の子。
彼は美咲を見つめ、静かに笑う。
「僕とは、まだ会えないよ」
そして最後に告げる。
「今度は夢じゃなくて、ちゃんと会おう」
夢の少女は何者だったのか。
そして、男の子は一体誰なのか。
すべての答えが明らかになるとき、美咲の人生は大きく動き始める。
これは、命を望み続けた一人の女性が、夢の中で出会った「家族」とともに、未来へ歩き出す物語。