あらすじ
前世の記憶を持って生まれたテオドル・ハルシュタインは、錬金術の才能を持つ少年だった。
だが、家には莫大な借金があり、学業を続けることはできなかった。彼が選んだのは、王国軍への入隊だった。
そこで待っていたのは、魔法と錬金術が当たり前に存在する世界。けれど、その技術は決して万能ではなかった。
水を煮沸する。
砂と炭で濁った水を濾過する。
感染症を防ぐ。
毒と薬を見分ける。
前世の世界では当たり前だった知識が、この世界では命を救う技術になる。テオは、自分の知識を使って仲間を救い、少しずつ軍の中で認められていく。だが、知識は人を救うだけではない。
製造技術を改良すれば、武器を大量に作れる。
錬金術を応用すれば、より強力な兵器を生み出せる。
戦場で役立つ知識は、そのまま人を殺すための知識にもなる。
やがてテオの技術は軍の中で広まり、彼自身の手を離れていく。それは、一人の錬金術師が望んだ「発明」の物語ではなかった。一人の人間が持っていた知識が、軍隊を変え、戦争を変え、そして国そのものを変えていく物語だった。