あらすじ
魔力を生み出す「魔力炉」を誰もが持ち、受け継がれてきた魔法を使う世界。
名門魔術師一族、アルヴェイン侯爵家の三男レオンは、十五歳の成人鑑定で「魔力0」と判定される。
魔力のない者に、魔術師としての未来はない。
そう判断されたレオンは侯爵家の家籍を外され、自分の力で生きる道を探すことになる。
だが旅の途中、魔物の魔法を目にしたレオンは気づく。
幼い頃から魔法に重なって見えていた奇妙な線や流れ。
それは単なる魔力の光などではない。
彼には、魔法を成り立たせている「魔法式」そのものが見えていた。
自分に魔力がないのなら、外から集めればいい。
その発想からレオンが組み上げたのは、この世界のどこにも存在しなかった新しい魔法――『吸魔』。
さらに『圧縮』『射出』と新たな術式を作り、レオンは魔力ゼロのまま、自分だけの魔法体系を築き始める。
やがて辺境都市リベルタで出会ったのは、レオンとは正反対の少女だった。
辺境伯令嬢セレナ・リースフェルト。
誰よりも膨大な魔力を持ちながら、その力が大きすぎるせいで魔法をまともに制御できない少女。
魔力を持たない代わりに魔法を組み立てられるレオン。
膨大な魔力を持ち、実戦の中で魔法を感じ取れるセレナ。
二人は失敗と実験を重ねながら、これまでの常識にはなかった魔法を少しずつ形にしていく。
冒険者としての依頼。
自分たちの魔法工房。
作った技術が他人の手へ渡る危険。
王立魔法学院との共同研究。
そして、千年以上ものあいだ「新しい魔法」が生まれなかった世界の秘密。
レオンが望んでいるのは、自分を追放した家への復讐ではない。
ただ魔法を知りたい。
できないのなら、別の方法を探したい。
そしていつか、自分の魔法を研究できる場所を作りたい。
これは、魔力ゼロと切り捨てられた少年が、
誰にも作れなかった魔法を一つずつ生み出しながら、
自分の居場所と価値を見つけ、やがて世界の魔法そのものを変えていく物語。