あらすじ
魔力ゼロの呪文科生ノアは、放課後の工房で呪文を書いて稼いでいる。客が自分の呪文で勝てば嬉しいし、次の注文も来る。ただ、本人も一度くらいは人前で格好よく勝ってみたい。
ある日、実技科のリゼットが工房へやってきた。難しい魔法を鮮やかに使う学院の花形だが、持ってきた注文書の字はひどい。本人に聞いて、ようやく
「逃げる敵に合わせて、炎の壁を曲げたい」という注文だと分かった。
ノアが書き換えた呪文をリゼットが使うと、彼女は炎の出口へ敵を誘い、別の魔法で撃ち抜いた。囲むことを考えていたノアより、使い方を思いつくのが早い。それならこんなこともできる、と次の案を話し始めた彼に、リゼットは公開演習へ一緒に出ようと持ちかける。
「俺、魔力がないぞ」
「さっき、自分で逃げ道を書いたじゃない」
自分で書いた道へ、自分も入れというのだ。
今度の公開演習には、ノアの呪文を買った客も出る。売った品が役立つのは嬉しいが、自分たちの出番まで食われるのは面白くない。二人で組むからには、もっといい勝ち方を見せてやりたい。