あらすじ
「今すぐ四十万円、振り込んでほしい。理由は聞かないでほしい。」
深夜、家族のLINEグループに兄の名前で届いた、たった一行のメッセージ。当の本人は「そんなの送っていない」と困惑するばかりで――。
普段は目立たない会社員を演じながら、裏ではCTF(セキュリティ競技)やバグバウンティで腕を磨いてきた弟・圭悟。誰にも明かしていないその技術を頼りに、彼は「なりすまし」の正体を追い始める。
ログイン履歴、IPアドレス、メールヘッダー――残された記録をたどるほど、事件は家庭から会社、そして取引先へと広がっていく。技術が示す事実と、人が語る言葉。両方を手がかりに、圭悟は静かに真相へ近づいていく。
記録は、どこまで真実を語れるのか。そして、記録が語らない部分に、何が隠れているのか。
等身大の技術ミステリー、全12話。
登場人物紹介(ネタバレ回避のため主要2名のみ)
- 汐谷 圭悟(しおたに けいご)/29歳 — 本作の主人公。中小企業のSIer勤務。「僕」の一人称。
- 汐谷 仁志(しおたに ひとし)/34歳 — 圭悟の兄。中堅企業の役員・部長クラス。