あらすじ
四十歳の会社員・久住悠人には、密かな趣味がある。
投稿サイトにミステリー小説を書くこと。
伏線も考える。トリックも練る。犯人だって簡単には分からないよう工夫している。
――なのに、驚くほど読まれない。
妻の真帆と十歳の娘・結菜にからかわれながら、平凡だが穏やかな毎日を送っていた悠人のもとへ、ある日、一通の案内状が届く。
「○○市立北野小学校 三年二組同窓会」
小学校なら、なぜ卒業時の六年生ではなく三年生なのか。
疑問には思ったものの、会場は県外のリゾートホテル。家族同伴歓迎で、格安の宿泊プランまで用意されていた。
最近家族旅行にも行けていなかった悠人は、真帆と結菜を連れて参加することにする。
覚えていない幹事。
三十五年ぶりに再会した親友。
真帆の昔の同級生。
すっかり年老いた担任と副担任。
どこかぎこちなく、それでも楽しい同窓会は何事もなく終わった。
――はずだった。
帰宅途中、参加者の一人が事故で亡くなったという連絡が届く。
そして数日後、二人目。
さらに、三人目。
偶然では済ませられない死が続く中、ミステリー好きの悠人は独自に事件を考え始める。
鍵はやはり、不可解な「三年二組」なのか。
ところが調べれば調べるほど、三年二組には何もない。
それどころか、悠人の目に最も怪しく映り始めたのは――二十年以上一緒にいるはずの妻だった。
なぜ三年二組だったのか。
なぜ彼らは集められたのか。
そして、自分は妻のことを本当に知っていたのか。
誰も覚えていない同窓会から始まる、過去と現在、家族の秘密が交錯する長編ミステリー。