あらすじ
妖精っていうのは、ただ憧れが強すぎる存在なんだよ。
たとえ、恋じゃなくても。
【あらすじ】
ピンク色の巨大な星が夏至の空に浮かぶ「ヴェイル・シティ」。
田舎の深い森から一か月前に憧れの都会へ出てきた妖精の少年ルキトは、映画館で出会った少女エマに心を惹かれ、妖精の力「チェンジリング」でエマの姿と生活を譲り受け、エマと入れ替わる。
憧れの都会生活を楽しもうと意気ごんだ夏至前夜のパーティーもうまくいかない。
夏至の当日。ルキトは着替えながら、妖精にいついて、恋や憧れについて思いを巡らせる。
妖精っていうのは、ただ憧れが強すぎる存在なんだよと定義。ボクは、今まで通りボクでいいやと、性別への違和感も受け止める。
強力な「妖気」の影響で街の電子機器が狂い、ヒトの気配が消え失せる中、ルキトは妖精語の標識や異彩を放つ街へ繰り出す。無人の交差点で出会ったのは、圧倒的な存在感を放つ黒羽織の美青年だった。
一目で心を奪われたルキトだったが、なんと彼もまたヒトに化けたチェンジリング済みの妖精だと発覚する。しかも、正体は故郷の村で三軒隣に住んでいた幼馴染の「ソラノ兄ちゃん」だった。
都市の境目が曖昧になる夏至の短い夜、ふたりは無人の横断歩道に座り込み、漫才のように、故郷の記憶や互いの事情を話しこむ。
もっと話をしよう、ヒトに憧れていて、でもヒトにはなりきれなくてなんて話。
ふたりは街の妖精のバーへと歩き出していく。