あらすじ
「約束どおり、離縁してください」
結婚からちょうど三年。
伯爵領の再建が完了した日、エレナは夫アレクシスに離縁届を差し出した。
三年前、傾いた伯爵家を救うために結ばれた政略結婚。
結婚初夜、アレクシスはエレナに言った。
「領地が立ち直るまで力を貸してほしい。だが、君を愛することはない」
だからエレナは三年間、伯爵夫人としてできる限りのことをした。
借金を整理し、領地経営を立て直し、夫を支えた。
そして今日、すべてが終わった。
これで自由になれる。
そう思っていたのに――。
「……本当に、出ていくつもりだったのか?」
なぜか夫は愕然としていた。
しかも、かつて彼が愛した女性まで未亡人となって戻ってきたのだ。
自分が残る理由など、なおさらない。
伯爵家を去ったエレナは、三年間の実績を買われ、新しい仕事と人生を手に入れていく。
そこで再会したのは、ずっと彼女の働きを見ていたグレイ公爵。
一方アレクシスは、妻がいなくなって初めて思い知らされる。
三年間を「期限付きの結婚」と思っていたのは、エレナだけだったこと。
そして――自分が彼女を愛していたことに気づくには、あまりにも遅すぎた。