あらすじ
東京の冬は、いつも灰色だった。
両親を早くに亡くし、奨学金を背負って大学を卒業した俺を待っていたのは、ブラック企業での終わりのない日々だった。
誰も俺を名前で呼ばない。
誰も俺を必要としない。
深夜二時、会社を出た俺は、雪の舞う街で空を見上げた。
(もし、もう一度人生をやり直せるなら……今度は誰かを守れる人間になりたい)
その願いが届いたのか。
赤信号を無視したトラックのライトが、俺の視界を白く染めた。
衝撃。
そして、暗闇。
――まだ、何も成し遂げていない。
強い願いを抱いた魂は、世界の理から外れた特異点へと変わった。
次に目覚めた俺を包んでいたのは、冷たいアスファルトではなかった。
雪の森。
そして、温かな銀色のスライム。
『プル……』
その振動に包まれながら、俺は初めて思った。
――今度こそ、生きてみよう。