あらすじ

「祝いの言葉など、誰が読んでも同じだろう。俺の婚礼は聖女に読ませる」 婚約者の王太子オーバンは、聖女フロリーヌの手を取って、そう言った。 私はリュシル、二十四歳。大神殿が一代に一人しか立てない〈祝い女〉で、六年間、王都の婚礼をすべて読み上げてきた。女神は、祝い女が読み上げた縁にしか来ない。女神が来なかった婚姻は、大陸のどの国でも夫婦と認められない。王太子は、それを昔話だと思っている。 「祈りなら私のほうが上手ですわ」 「では、隣国の婚礼を祝います」 北の国からは六年で十二通、祝い女を貸してほしいという願いが来ていた。王都が全部握り潰していたので、私が自分で受け取って、その日のうちに国境へ向かった。灯りを持って迎えに来たのは、十二通を全部自分で書いたという若い王だった。 北の丘の教会には、三年待った三十組の花嫁がいる。私が読み上げると、可愛いオカッパ少女の女神がケーキを持って現れて、大陸中の鐘が鳴った。同じ刻、王都の大聖堂では聖女が読み上げて、鐘は鳴らなかった。 「戻れ。聖女が読んでも、女神が来ないのだ」 「女神さまは、私が読み上げた縁にしか来ませんので」 三十一組目を、王が願い出た。祝い女の縁を読み上げる者は、この世に一人しかいない。

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小説を読もう2026/09/06
  • 現在の作品「祝いの言葉など、誰が読んでも同じだろう」と婚約破棄されましたので、隣国の婚礼を祝います ~女神が来ない王都では、今年の結婚が一件も成立していないそうです~