あらすじ
高校二年生の少女・紬は、進路希望調査を前にして悩んでいた。
周囲の友達は「いい大学に行って、いい会社に入って、素敵な人と結婚する」という未来を当たり前のように話している。
けれど紬は、ふと疑問に思う。
――それは、本当に私が幸せになれる人生なのだろうか。
勉強、恋愛、友達、将来の仕事。
「こうすれば幸せになれる」と大人や周囲から教えられてきたものを、紬は自分の心に当てはめてみる。しかし、どうしてもしっくりこない。
ある日、公園で出会った一人の老婦人から、「幸せは誰かから渡されるものではなく、自分で見つけていくもの」だと教えられる。
その言葉をきっかけに、紬は小さなノートを作り、自分が「嬉しかったこと」「好きなこと」「苦しかったこと」を毎日書き始める。
何気ない日々を記録するうちに、紬は少しずつ自分自身のことを知っていく。
大勢の中で目立つことより、気の合う人とゆっくり話すこと。
競争に勝つことより、自分のペースで成長すること。
誰かに認められることより、自分で選んだと思えること。
そして、何よりも「自分らしく穏やかに生きられること」。
高校卒業を迎えた紬は、周囲とは少し違う進路を自分の意思で選ぶ。
その後も人生の中で迷うことはある。
それでも迷うたび、あのノートを開く。
「みんなが幸せだと言っているものが、私にとって幸せとは限らない」
幸せに正解はない。
誰かの描いた人生を生きる必要もない。
嬉しかった日も、苦しかった日も、迷った日も、そのすべてが自分を知るための手がかりになる。
紬は、自分だけの幸せの形を探しながら、自分の人生を歩き始める。